まずは暗譜から
シューベルト作曲ピアノソナタ第17番第2楽章ひとまず暗譜完了。
最近では新曲に取り組む際、まず初めに暗譜することにしている。指使いを決めたり技術的な練習はそのあとで行う。理由はいろいろだが、以前読んだ金子一朗氏の書籍に共感した事がきっかけである。その後の練習がスムーズだし、本番での演奏もうまくいく気がするからだ。要するに指の動きに頼らず音を記憶するべきということである。
さて、ひとまず暗譜完了とはいえまだまだ必要なこともある。
まだスラー、スタカートや発想記号などは覚えていないし、そもそも指使いをまだ決めていない。
しかし音はすでに把握しているので、音楽表現にふさわしい適切な指使いを決めやすいし、その方が暗譜せずに指使いを決めてしまうよりも流れに沿った合理的な形になると思う。
この第2楽章は、初めのテーマが少しずつ変奏されて何度も繰り返される。どんな装飾音符が加わったか、ハーモニーの構成音がどう変わったか、リズム、調性の変化など、暗譜するには結構難しく面倒くさい曲だがとても勉強になる。細かくみると少々疑問や矛盾を感じることもある。そのためには今の楽譜以外のものにも目を通していく必要があるだろう。
暗譜した後にようやく曲の勉強がスタートするといった状況である。
シューベルト作曲ソナタ第17番〜第2楽章の練習開始
1825年シューベルト作曲のピアノソナタ第17番は通称「ガシュタイナー」と呼ばれ、演奏時間に40分掛かる大作だが「天上的な長さ」「冗長で退屈」と評されている。
5年ほど前の自分であればこの曲に全く興味を持たなかっただろうが、どういうことか現在は夢中である。
万人を惹きつけるような印象の強い音楽ではない。しかしだからこそ徐々に心の中にしみこんでくる柔らかで懐かしいような気分に浸れる音楽である。
50を越えた年齢になるともう未来への夢や希望を持つより諦めや後悔の毎日である。激しい自己主張にはだんだん嫌気がさし、平凡な日常のささいな喜怒哀楽に共感し感動してしまう。
第2楽章はまさにそんな音楽。
派手さも深刻さもないシンプルで細切れなフレーズが、微妙に揺らぐリズムにのせて心地よく歌われていく。
その表現は、実際自分で演奏するにはとてつもなく難しい。テンポ、リズム、アーティキュレーション、タッチなどの全てが悩みどころである。
2022年5月現在
この曲に取り組むにあたってとりあえず暗譜で弾くことを目標にしてみた。
指先のテクニックや音楽表現に関してはそれ以降に考えたい。